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最高裁判所第一小法廷 昭和29年(あ)1822号 判決 1954年12月02日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人の上告趣意第一点は判例違反を主張するけれども、引用の判例によれば「共同審理を受けていない単なる共犯者の供述はただ共犯者たるの一事をもって完全な独立の証拠能力を欠くものとはいえない」と解されているのである。しかるに本件では所論清水加保太郎は被告人と共同審理を受けた共同被告人でないこと記録上明らかであるから、たとえ右清水加保太郎が被告人と共犯の関係にあったとしても、本件において同人の供述に所論の如く証拠能力に欠けるところがあるということを得ない。それ故、原審が専ら同人の供述によって判示事実を認定した第一審判決を是認したからとて、結局原判決は右判例に反したものということはできない。同第二党は違憲をいうが、その実質は単なる訴訟違反の主張を出でないものであって、すべて上告適法の理由にならない。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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